菊地久治先生の思い出 |
我々の同期以外の方が、はじめてこのページを訪れたのであれば、先ずA君の「”サヨナラだよ”ー菊地久治先生の思い出ー」をお読みください。珠玉の短編小説として読めます。また我々同期にいかに強烈な思い出となって残っているかがご理解いただけると思います。
●板見潤一「シュテルゼフ峠での邂逅」(PDFファイル)20/10/6掲載
「同期の人から」にもアップしている。ネットが取り持つ御縁を「シュテルゼフ峠での邂逅」に掛けている板見君の文章である。
PDFファイルでアップしていますから、ご自分で文字を大きくして、お読み下さい。
●菊地先生の本『永遠の朗読劇場-菊地久治作品集と千葉高生-』の刊行(PDFファイル)(2016/12/5→2018/10/30)
板見君、高橋(良)君の尽力で、標記の本が刊行されました。A君こと嶋田君の文章や、それに触発された同期諸氏の思い出や高橋君の先生との交流なども収録されてます。
菊地先生の下記の評論も取り込み、山折哲雄氏の序文に、山折氏から提供された先生の学生時代の小説も含めております。
評論は西郷隆盛詩論を除くと難解です。歌舞伎、特に幕末のドロドロしたもの、任侠とエディプスコンプレックス、血みどろ絵、泉鏡花などに関心のある方には興味深いでしょう。
●高橋(良)君からの菊地先生秘話2(2016/11/28)
菊地先生と、高校卒業後に長い交流があった高橋(良)君から、再度、聞いた話です。先生の知られざるお姿がよくわかります。
再度、高橋君から聞いた話「菊地先生の知られざるお姿Part2」…高校卒業後の先生のお姿、年賀状、菊地先生の写真作品もあります。
2016年3月に高橋君から聞いた話「菊地先生の知られざること」
●菊地先生の著作リスト
伊藤が国会図書館でリストアップして、コピーできるものはコピーしてきました。このリストを見ると、先生のお好み、ご研究がどういうところにあったのかがわかります。本当に高校の先生らしくないのだ。
菊地久治先生(ペンネーム菊地久治郎)の作品(国立国会図書館所蔵リスト) | |||
論文タイトル名 | 所載本、雑誌 | 発行元 | 発行年 |
わが国における無頼思想3(近世の文学)ー特に演劇における無頼性の形成 | 『無頼文学研究』 | 三弥井書店 | 1972 |
任侠における流血と死-男性原理としての祭典 | 『日本における流血と死の哲学』 | 帰徳書房 | 1973 |
任侠ーこの異端なる虚構美の伝承 | 「日本及日本人」 | (株)日本及日本人社 | 昭和48年(1973)薫風号 |
恋慕と反逆の響鳴 | 「日本及日本人」 | (株)日本及日本人社 | 昭和50年(1975)陽春号 |
北斎・絵金・芳年ー血みどろ絵の因果 | 「國文學」 | 学燈社 | 1976年8月号21巻 |
血みどろ絵の原理 | 「日本及日本人」 | (株)日本及日本人社 | 昭和51年(1976)爽秋号 |
色道の或る伝授ー淇園と荷風 | 「日本及日本人」 | (株)日本及日本人社 | 昭和53年(1978)新春号 |
白波狂言の構造ー或ひはバタイユから見た「十六夜清心」 | 「日本及日本人」 | (株)日本及日本人社 | 昭和54年(1979)新春号 |
四谷怪談新説 | 「日本及日本人」 | (株)日本及日本人社 | 昭和55年(1980)新春号 |
「いき」の美学ー視線のエロス | 「日本及日本人」 | (株)日本及日本人社 | 昭和56年(1981)盛夏号 |
憎悪愛の転移ー「婦系図」小論 | 「日本及日本人」 | (株)日本及日本人社 | 昭和59年(1984)盛夏号 |
西郷隆盛詩論 | 「日本及日本人」 | (株)日本及日本人社 | 昭和64年(1989)新春号 |
●石井(忠)君、宇井君、桜井(海老原)さん、高橋(純)君の思い出(2016/11/16)
<石井忠夫>
1年、2年と菊地先生が担任だったが、自分のもっとも苦手とするタイプの人間だった。ともかく変わった先生で千葉高に来て驚いたことの一つである。今から思うと、あのような先生を受け入れた千葉高は寛容だったのだと思う。
髪の毛が薄いが、それにネットをかけておられた。ある時、ネットが飛んでクラスがざわついたことを覚えている。
あとアポロンとディオニュソスとかの話をされていたのを覚えている。アポロンは肉体的ということだったように記憶している。(事務局注:調べるとニーチェに、アポロンは夢想的、静観的芸術、ディオニュソスは陶酔的、激情的芸術。この融合がギリシャ悲劇というような著作があるようだ。アポロン-造形芸術、荘厳で格調のある音楽で自己抑制的で冷静-、一方、ディオニュソス-非造形的な音楽芸術、騒々しい舞踏音楽で狂気、自己陶酔-とも述べられている)
ともかく、先生は芸術的だった。結局、死して残るのは芸術で、肉体は残らない。今、先生の思い出が我々に強く残るのは先生が芸術的だったのだろう。
<桜井(海老原)早苗>
私の、菊池先生の思い出は、3つです。
(1)お姿、歩き方。
独特でした。
(2)朗読の時間。
私には、とても、ゆったりできる、好きな時間でした。
(3)ある日の詩の授業。
川の詩(題も作者も、細かい内容も忘れました。)の解釈です。
私が想像したのは、野原の中を流れる小川でしたが、先生のは、工場地帯を流れる、ドブ川でした。
あまりの違いに、ポカーンとしました。
作者は、どんな川を詩にしたのか、聞いてみたかったです。
<宇井和男>
私は、先生の朗読を単純に面白がっていた生徒の一人でした。
授業で川に藁くずが流れていることを描写した詩の説明をした時「これは工場地帯を流れるどぶ川を現しています」という解釈にびっくり した記憶があります。
<高橋純一>
①春琴抄の時の声色は気持ち悪かった。
②修学旅行の時に、先生が一人ずつ呼んで、手相、人相を見てコメントするのだが、自分は先生から「人を許すことを覚えればもっと人間が大きくなる」と言われたが、大きなお世話だと思った。
③授業の時、窓を閉めるように言われる。朗読の時だけではなかったと思う。暑い時は嫌だなと思った。ネットで覆った髪の毛が乱れるからかとも悪友連と話していた。
●先生が新任された時に「千葉高新聞」(奥山資料)に寄稿された「ベスト12」をアップ(2016/11/10)
「前略 それで次の基準で本を選んでみました。
A.できるだけ一流の作品であること
B.できるだけ読みやすくしかも作者の精神がはっきり表現されているもの
C.できるだけ考え方の基本がよく表現されているもの。
以上の基準にかなうものは決して多くはないでしょう。「ハムレット」や「赤と黒」を読んでも、発想の基本型をつかまないかぎり作品は逃げていくばかりなのです。
50年経って、あなたは何冊読んでますか?
●読書会の思い出に「潮騒」登場(2016/9/12掲載)
永井君から「潮騒」の読書会の思い出が50年ぶりに出て着ました。これまでの皆の記憶には、この本のことは出なかったですが、三島の潮騒は先生が選ぶ小説として、いかにもそれらしい。高校生にエロティシズムを教えようとしたのではとの永井君の感想もわかります。
永井君が語るには、高校時代、どういうわけか演劇部に所属し、長谷川(近藤)ゆり子さんや岩田(水鳥川)洋子さんとよく議論していたことを思い出すと。もちろん女性陣の方が鋭い議論をするのでいつも言い負けていましたが。みんな生意気でしたと。
「菊地先生、思い出の「潮騒」」(PDFファイル)
●『潮騒』に「うぬも脱げ!」のセリフ(2016/9/20掲載)
上記の永井君の思い出を読んだ時田(秀)君から、次のような衝撃的な想い出が寄せられました。
「久治先生の『潮騒』は明確に記憶しております。永井くんの文章にあったように観的哨のシーンです。
映画でも、小説でも記憶が無いのですが、先生は朗読の時に、新治に下帯を解くように叫ぶ初江のセリフ(?)を「うぬも脱げ!」と恍惚の表情 (見てはいないのですが・・・・・)でお叫びになったように記憶しております。
以来、私の意識のなかでは 『潮騒』といえば「うぬも脱げ」であります。」
●秋葉君はQ治先生と下宿が一緒だった(2016/9/12掲載)
秋葉君からの今度の同期会における「近況報告」の一節。秋葉君も高橋(良)君と同様に、まだまだ我々の知らない菊地先生の思い出を持っているのだろう。
「菊池久治先生とは同じ下宿で、お互い常に見つめあって、阿吽の呼吸で、濃密な共同生活を過ごしていましたので、皆さんとはまた違った思い出もあります。ある夏の日の夕方、下宿のおばさんに、『少し考え事があるので海に行ってきます』と言って出かけた先生の後ろ姿を見送りながら、もうこのまま帰って来ないのではないかと、漠然とした不安を覚えたことを思い出します。
夕なぎに 光芒まさに 暮れんとす」
●菊地久治先生が編集した『日本における流血と死の哲学』(2016/9/12掲載)
菊地先生が菊地久治郎のペンネームで、責任編集された本のうち、板見君は『日本における流血と死の哲学』を購入し、その「あとがき」の一節を自分のブログにアップしています。以下に転載いたします。私には意味がわからない文章だ。今度、板見先生(国語教師)に解説してもらいます。
<前略> 死を単に個人の資質の問題としてとらへるのではなくて、ひろく流血と死といふタナトスがもつ意味をあつかふならば、集団心理が社会をうごかし死が伝承の様式にはたらきかける相関の力学について、より明確な視野を開拓することが出来るかもしれない。このやうな考へから、日本の伝統における流血と死といふ主題のもとに、各氏の考察を一書に収めることになつた。 編者はそのときは、バタイユやエリアーデのかなり想像的な発想を、日本の歴史の風土に適用した場合の、思ひがけない発見や成果を、漠然と期待するところがあつた。 たとへば千利休の死は、茶道におけるなんらかの象徴としてふしぎな糸を空(くう)に吐きかけ、つひには川端文学の「千羽鶴」の不吉なエロスを紡ぐに至り、さうして危ふくかけわたされた糸が、南方禄や珠光の辛気な儀礼心得を、新しいいのちとしてすくひあげてくれるかもしれない。 このやうな奇矯な詩想に促されてゐながら、実は美学を離れた政治的或ひは民俗的な視点もまた、この主題は当然要求するはずであつて、諸氏に執筆を依頼するのに、私は各人の自由な世界観を尊重したいと思つた。 かうした主題については、危険な熱をおびやすい異端の感性も、実は真当なマジョリティーの社会観の母のやうな安全を、どこかで恋ひこがれてゐるのである。 当然のことながら、ありやうは、千利休の死も「千羽鶴」の頽唐も、茶道といふ世界の秩序や家元制度の、人間疎外の歪みを明証する以外のなにものでもないかもしれない。かくして茶道の様式はヒューマニズムの文化に編入される。かうした良識になづまないで、どうしてT.E.ヒュームやオルテガの反抗が可能だったらう。 <後略> |
なお、この本における執筆者は下記の通りとのことです。菊地先生は5章を担当しておられます。また9章は黒須先生です。
●「菊地先生の知られざること」(PDFファイル、16/3/25)
水道橋で行路死亡人として発見された菊地先生の身元を警察に伝えた高橋良当君から聞いた話をまとめました。菊地久治郎というペンネームで、江戸文学に関する編集、論説を書かれていました。
● A君「"サヨナラだよ"-菊地久治先生の思い出-」2000/1/18
よく、ここまで覚えていてくれました。短編小説の名作を読んだような読後感。
先生の風貌、読書会の様子などが目に見えるように書かれています。
●「鮮烈 菊地久治先生」(事務局編09年6月、10月)
堀松さん東京葛城会用 | A君が送ってくれたもの |
同期の皆様からの寄せられた菊地先生の以下の思い出を、東京葛城会50周年記念誌への原稿として、事務局が取りまとめたものです。記念誌用に堀松さんがた誌面の制約(これでも4頁程度との要望をオーバーして6頁ちょっとになってますが)から読書会の思い出中心になってます。ご了承下さい。
上記イラスト2枚は、2人の同期がそれぞれ画いたものです。「こういう感じだ」「ちょっとイメージが違う」とそれぞれに思いはあるでしょう。あなたはあなたの心の中のイメージを大切にしてください。
●板見君の「同窓の日々」から(09年6月18日)
板見君が「同窓の日々」をまとめてくれた。その中にも菊地先生の思い出を詳しく書いている。ちなみに彼は先生と同じく国語の教師をしている。5.キクチ劇場という遺失石器
7.幻の仮面朗読会・前篇
8.幻の仮面朗読会・中篇
9.幻の仮面朗読会・後篇
10.幻の仮面朗読会・付記
●「朗読の美学」抜粋(05年6月28日)
菊地先生が昭和42年に「千葉高校図書館報」に書かれた文章から、抜粋しました。先生は朗読で小説を第2の創造に高めようとしていたことが理解できました。
●追悼 菊地先生(2003/5/16)
菊地先生からお手紙があった約半年後の2000年12月に、菊地先生は水道橋駅近くの路上で逝去された。お身内の方ではなく、同期の高橋(良)君に警察から連絡があり、行旅死亡人(こうりょしぼうにん)からは免れたが、私は菊地先生らしいご最後と思った。高橋(良)君からの訃報連絡と、日暮君、伊藤の追悼文とA君の思いでの絵を掲載。
A君、佐久間さんが菊地先生の現在のご住所を探してくれました。先生からのお返事です。先生らしい流麗な書体を見ていただくために画像化しました。内容も先生らしい。
● 佐久間憲子「"芸術家と市民"-菊地久治先生の思い出-」2000/2/1
朗読を筆写する授業風景、芸術家=先生、市民=生徒の図式がもたらすエピソードや修学旅行での占いの様子が書かれています。
● 「各人の思い出」1998/11/13~2000/2/18
時系列としては下の方からですので、上から、この順序で読んでいくと少し違和感もありますが、それぞれが短いので問題はないと思います。
- 古山明男
- 「A君の投稿を読んで-当時の思いと黒須先生のトニオクレーゲル-」2000/1/30
- 佐藤仁子
- 「『施餓鬼舟』発見」2000/1/25(渡邊君コメント)
- 甲田正二郎
- 「A君の投稿を読んで-トニオクレーゲルに魅せられて-」2000/1/23
- 中台孝雄
- 「A君の投稿を読んで-高瀬舟-」2000/1/22
- 佐藤仁子
- 「A君の投稿を読んで-菊地久治先生は伝説になった-」2000/1/20
- 山本渡
- 「A君の投稿を読んで-修学旅行での先生の占い-」2000/1/19
- 渡邊章
- 「A君の投稿を読んで-三島由紀夫の『施餓鬼舟』-」2000/1/19
- 神保公子
- 「『ひとふさの葡萄』続編」98/12/3
- 伊藤三平
- 「読書会と『ひとふさの葡萄』」98/11/13