セブ島−潜って食べて−
高尾広明
4.ダイブ3 |
リーダー役の人と、ダイブマスター達は事前にその日の深度を打ち合わせます。あまり深く潜っても魚をはじめとして見るものも少ないし、暗くて綺麗でもないので、大体25m位までですが、鮫を見たいとか、特別の目的があると40m近くをセットする場合も有るようです。潜る前に私のダイブマスターである、A君がOK?と聞いてきます。マスクに異常が無く、空気が吸えることを確認してOKと答え、いよいよ潜水。当初打ち合わせた深度までゆっくりとですが、一挙に潜ります。 私の昔の経験では、5〜6人の客にショップからのガイドが一人付く、という形だったため、当初、私はグループ全体を見て、A君を特に意識していませんでした。潜っていく時には水圧に押されて耳が痛くなってきます。これを耳抜きといって、つばを飲み込んだり、鼻をつまんで息を鼻から吐こうとして、水圧を調整してあげる必要があります。確か2日めでしたが、耳抜きに気を取られている間にぐんぐん沈み、38m位まで潜ってしまいました。又A君が洞窟に入っていった際、これを無視して、別の人についていってしまいました。水から上がってA君にこっぴどく怒られました。水中では、担当ダイブマスターを常に視野に入れ、必ず後をついていくのがルール。で、以降、水中、地上を問わず、私はA君の寄生虫となったわけです。 水深25m程のところにある、墓碑を見ました。他にも水中に十字架が立っているところがあるそうです。わざわざ海中にお墓を作るくらいなので、この人たちもキチガイ級のダイブ好きだったのでしょうが、やはり、危険なんですね。この人たちが、殿様ダイブだったかどうかは知りませんが。 経験豊かな人たちは珍しい魚を見たとか、2cm位の小さなタツノオトシゴを見て喜んでいますが、私はあまり目も良くない所為もあり、大物を見たかったのですが・・・鮫、マンタなら言うことなし、せめてナポレオンフィッシュクラスを。鮫は一般的に夜行性で、昼間は海底でじっとしている事が多いそうです。この地域もご同様で、鮫を見るには常駐場所を40m近くまで降りていって、探します。私が居る時には一度も見つかりませんでした。見たのは浅いところに居る鮫の赤ちゃん、1m程で、珊瑚等の下に隠れています。成長するまで、居る場所が決まっているそうです。マンタはこの地域には居ないとの事。大物で唯一見たのは、海亀を数度。大きなものは人間を怖がらず、触っても大丈夫でした、しかし、掴んだりして亀の動きを制約しようとするとパニックを起こして逃げるそうです。他に威張れるものは海蛇、イカといったところ。群れで泳ぐイカは実に綺麗です。 8日間、毎日2ダイブづつ、最後の日は3ダイブの計17回潜ったわけですが、スポットが変わるとはいえ、似たような地形だし、鮫に追っかけられるというような冒険も無かったので、全体としては、若干単調の印象。一生分のダイブを堪能いたしました。 |
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