8.国会図書館関西館()

話を戻せば、閉架に閲覧希望を出す場合、手続きをしてから現物が届くまでの時間と手間が一番の問題であろう。あらかじめ目的のものの所蔵を確認せず、しかもただちに見たいというなら蔵書数が多ければ多いほど有利だし、検索と手続きが簡単で早ければそれにこしたことはない。だから日本一の在庫を誇る国会図書館が「書庫が手狭になった」という理由で遠隔地に二分されるのは賢いとは思えない。日本(およびできたら世界中)の本はとにかくここに行けば必ず一冊づつあって、情報機器を駆使し、即時に閲覧あるいはコピーができる、という図書館が全国に一館だけあればいい(複数あればもっといいけど)。取り寄せになるなら他にいくらでもルートはあるし、日数を要するのは同じなのだ。第一の利用対象である議員だって永田町一ヶ所でさっさと調べ物が出来ないのなら不便に違いない。

そうだった。それぞれ目的があり、と言ったがこの図書館はまずは議員の国政調査権のためにあるのであって、国会議員やその秘書、国会職員の利用にさしつかえない限りでわれわれが使わせていただくというのがたてまえ上の主旨だ。言い換えれば、当人たちが使わないのならば、市民の財産として、できるかぎり効率的に使えるように工夫をこらし、さまざまな改善を求めていくことが肝要だ。これだけの知識と情報の宝庫があるのだから国会議員にはいいかげんな憶見にもとづいたり、教養を疑われるような発言はして欲しくない。無駄な公共工事にしないためにも。

自転車置き場が充実し、「ノートとインクのにおい」に満ちた図書館はこの掲示板でいつか伊藤君が書いてくれた私のいう「コミュニティ図書館」なのだけれど、それについては長くなったので別の機会にします。(この項おわり)

前へ
目次へ
次へ 

同期の人からに戻る