ドイツからの近況報告

西田 高

近況報告(その1)98年10月5日

当方昨年の8月より、ドイツ連邦共和国バイエルン州のランツフートと町にある日立製作所の関連の半導体製造子会社に出向の形で派遣されております。

ランツフートはバイエルン州の州都ミュンへンからは東北東に70kmほどのところにある人口6万ほどの小さな田舎町ですが、州を10ほどに分割した行政区域(さしずめ郡のようなところ)の中心都市です。中世にはバイエルンの中心地だった事もあり、13世紀はじめに建てられた城や、15世紀に建てられた世界で最も高い煉亙と漆喰だけの建造物である塔を持つ教会等があり、町の中心部ではいまだに中世の町並みが保存されているようなところです。
小さな町なので日本人も少なく、残念ながら日本料理屋はありません。どうしても食べたくなるとミュンへンまで足を達ぶ事になります。会社の中での公用語は英語ですが、直接員は殆ど英語を理解しません。間接員は基本的に英語を話しますが、人により込み入った話になるとついドイツ語になってしまう人もいます。 町中でも英語は中々通じなく、苦労します。たまに英語が通ずると本当にほっとします。町中では大きな高級品を扱う店やテパートらしきところでは英語もたまに通じますが、小さな店や、朝市等では殆ど英語が通じません。
気候は北海道に似ている様です。緯度は約49度で日本の辺りで言うと樺太の真ん中辺りに相当します。

6月頃は夏時間を採用していることもあり夜9時半過ぎまで明るいのですが、冬至の頃は朝8時過ぎに明るくなり、タ方4時頃には暗くなってしまいます。雪も降りますが、積もる事はめったにないようです。スキーをやる人はオーストリア(インスブルック)或いはスイスまで足を延ばす様です。尤もインスブルツクまではアウトバーンを飛ばせば2時間位で着けるようです。ただ冬の気温は北海道並み以上に冷え込み、最低気温は昨冬で―15度位でした。尤も―昨冬は―30度近くまで冷え込んだようです。今年も既に朝晩は10度以下に冷え込んでいます。例年10月には初雪が降るようです。8月の下旬から暖房を使い始めています。

近況報告(その2)98年12月16日

今年は12月に入ってから急に冷え込んできて気温も最高が零度前後最低は例 か10度くらいまで下がり、しかも12年ぶりの大雪だそうで一時は30cmほどの積雪になりました。このままホワイトクリスマスになるかと期待していたのですが、先週の土曜日(13日)から急に気温が上がり、雪は完全に溶けてしまいました。昨年はせいぜい2-3cmの積雪で明くる日には雪が解けるのではなく昇華してしまうといった具合でした。気温が低く(零下5-15度)湿度が低いため普通雪は解ける事無くなくなってしまいます。冬の気候は北海道の内陸部に近いようですが、積雪量はずっと少ない様です。
それにもかかわらず除雪体制は完備していてかなりの雪が降っても幹線道路は雪が止みさえすれば30分後くらいには通常走行できます。アウトバーンでは少々雪が残っていても160km/hrくらいで飛ばしていく車もあります。尤も時々スリップして路肩から脇の畑に突っ込んでいる車を見掛けます。

11月の最後の週末からはクリスマス期間となり、各市町村の中心の広場には日本で言うと歳の市のような"Christkindle Markt"という市が始まり、クリスマスの飾りやローソク、クリスマス用の日持ちのするケーキ等を売り出します。また市では熱いソーセージや日本のお屠蘇に似た"Glueewein"という赤ワインに蜜柑の皮をはじめとするハーブ類を加えて暖めた飲み物が売られており、アルコール分は多分5%以上あると思うのですが中学生ぐらいの子供も一緒に飲んでいます。商店はクリスマス用の飾り付けに模様替えし、町の中がとても明るくなります。今の季節は朝日が昇るのが8時半頃、夕方4時過ぎには日が沈んでしまいます。気分的には暗くなりやすいこの時期をキリスト教徒最大のお祭りであるクリスマスで何とか埋め合わせをしているようにも感じています。


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