イタリア語は楽しい |
甲田正二郎
(「日本医事新報」−緑影随筆2008−に投稿したもの)
数年前から週末は九段の靖国神社近くのイタリア文化会館での語学講座に通って勉強しています。 (写真は著者撮影、彼はカメラオタクでもあるが、最近は魚眼レンズに凝っている)
カンツオーネの歌詞やイタリア料理のメニューが理解できたらとの軽薄な動機からでしたが、イタリア関連の書籍から派生的に須賀敦子さんや塩野七生さんの著作などを読み、地中海を主軸としての西欧文明の歴史的な成立過程についての興味が湧いてきました。
言語的にイタリア語の源であるラテン語は我々医者には学生の頃に暗記した解剖学用語でも馴染みがあり、文法と語句は現代イタリア語に痕跡を残す部分が少なくありません。イタリア語の発音はほぼローマ字と同じで音楽的でもあり聴きとりは楽です。
映画(古くは「自転車泥棒」、最近では「家の鍵」など)のDVDを繰り反し再生して目と耳から吸収しています。モーツアルトの同じオペラでもドイツ語とイタリア語のとを聴き比べて若干異なった印象を受けるのは不思議です。
学習での難点は複雑な動詞の活用ですがイタリア人でも時には間違えるそうですから過度に神経質にならずに反復練習すれば良いのではと思います。
イタリア人は陽気で享楽的で行動的という先入観が日本ではあるようですが、実際に接すると北イタリアには思索的で冷静な人が多く、南では特にナポリの人はいろいろな意味で頭が良いと聞きます。第2次大戦の終戦処理や昨今のイラク派兵の対処から彼らの鋭い政治的な判断が伺えます。
高度の失業率と格差社会の中で若者が自立して結婚するのが難しくなっているのは日本の都会と同じようですが、母親を中心とした家族愛の深さでは日本は負けているようです。
イタリア文化会館での受講資格に制限はありませんから一緒に勉強しませんか。