和洋女子大学の3年生向けの話の概要
こんにちは。山本邦昭と申します。
布施谷先生(事務局注:和洋女子大生活環境学部准教授、被服構成学)からは、「当日は衣生活に関わることで山本様が日頃感じていらっしゃることをご自由にお話下さい」とオファーいただいてますが、私が語ってお役に立つか、はなはだ怪しいので皆さんから積極的にご質問いただき、それに答えるという形であればいいなと思います。
よろしくお願いします。
その前にアウトラインを申します。
山本邦昭58歳。大学の坂の下 京成国府台駅近くで生まれ育ちました。地元の真間小学校卒。
実家は早くから和洋女子大や千葉商大の学生さん相手のアパートをしていた関係で、私も今その一室にひとり居候してます。
14年前に 妻をがんで天に送った後、子供たちが成長してそれぞれの大学近くに住むようになり、私も老人父母の面倒見に市川に4年前に帰った矢先の04年クリスマス前に脳出血で倒れました。
幸い一命をいただいたものの、左手左足顔の左側のマヒなどがあります。
皆さんの中で お身内に脳出血 脳梗塞 クモ膜下出血で障害になられている方はいらっしゃいますか?
それらの脳の障害を脳卒中=ブレーンアタックと総称してます。
最近ではサッカーのオシム監督が倒れ入院中ですし、野球の長嶋さんもそうです。
また最近、「ヴォーカリスト」CDがヒットの徳永英明さんも脳卒中のモヤモヤ病から復活されました。
先ほど申し上げたように、前触れないままある日 突然に倒れ→障害者となりました。
ですから、障害者となったらこんな服を着よう など全然用意してないのですから、意識が戻った時は病院服、それからパジャマ→ジャージでしょうか。
続いてリハビリ病院に移った途端リハビリの先生は「山本さん、身だしなみはリハビリの第一歩ですよ!なんですか その格好は!パジャマ着替えてヒゲ剃ってらっしゃい!」とカツを入れられた私は慌てて床屋に飛びこみました。
「そうかぁ身だしなみはリハビリの第一歩かぁ」この言葉は今でも私に強く響いております。06年3月に退院し、最初は狭く陽の当たらないワンルームでウツウツと引きこもり中年してましたが、暖かくなって車椅子であちこち出歩くにつれていつまでもジャージ姿ではいられないです。
これは脱線ですけど、市川の土地は古くから障害者に対して暖かい風土があります。
国府台には、軍隊の精神病院あり今の国府台病院ですし、山下清画伯を育てた式場隆三郎先生の病院もあったり、聾学校あるし、市民活動NPOの活動も盛んな土地です。
私もそのルートから布施谷先生にご縁をいただきました。感謝です。
そうやって多くの方々、特に障害の方と交わって、「人のふり見て我がふり直せ」と服に関しても注意が向くようになりました。布施谷先生とお会いする前は、着脱しやすい障害者お決まりのジャージ姿でしたので、その格好で教会にも出かけてました。
「自分は障害者なんだからどんな格好してもいいんだ」といった甘えが抜けてなかった。
外に出歩くようになっておしゃれな障害者さんと出会うと、こりゃまずいゾーと感じた次第です。
春に布施谷先生から触発を受けて、今年の夏はたまたま家にあったピンクのポロシャツを着て過ごしました。通っているデイケアではこのピンクのシャツが人気で、盛んに声がかかってきます。また優しいリハビリの先生からは「なかなかピンクが似合う男の人っていないのよ」とハートマーク付きで言われたり、ピンク服の効果で明るい気分になりました。
メル友の江戸川病院の先生からは「明るいおしゃれな患者さんの周りは笑い声が絶えません」といった感想など寄せられ、なるほど服の効用は大きいと思いました。
発病前には、まさか私がピンク着るなど思ってませんでした。
障害者を最近はチャレンジド、つまり天から挑戦する権利を与えられた者たち、チャレンジドと言います。
私もせっかく障害を持っているのだから、今までやれなかったピンクやらおしゃれやらしてみよう という野心あります。
今日も実は茶髪やピアスで来ようと、内心思ってたのですけど、さすがにそこまでのチャレンジはできませんでした。先ほど言ったように車イスであちこち出歩いていると「お手伝いしましょうか?」と声かけてくれる若い人があまりに少ないのに気づきます。
倒れる前には教会の車イスの方を連れ出してこのあたりを花見したり、江戸川を散歩したりしてました。
駅で目の不自由な方には声かけてました。
車イスの方にはお手伝いしましょうか?と押してました。
それを見てた同僚は「山本さん 障害者は甘やかしちゃだめよ」と知たり顔で言ったけど、そんなことは絶対ありません。
どうかどんどん声かけて手伝ってくださいね。
特に若い人からの声かけはうれしいです。
だって、そう言ってくださるのは決まってお年寄りの方たちだから、気が引けちゃいます。この私には障害者=劣っている自分を卑下している部分がどこかにあります。
その劣等感を払拭してもらえるのは、自らのおしゃれであったり、皆さんからの優しい声かけです。
まとまりませんですが、私の思いを述べさせていただきました。ありがとうございました。恵まれたクリスマスでありますように。