館林逍遥

濁郎 作

(事務局 選)

ご指導:故菊地久治先生の高校時代のお言葉

「句は才能ではなく、ひたむきに見詰める心なのですね」

06.3.9
沼さびし 水も霞みて 北帰行
寒波さり うららかの沼 木々映える
入り日揺れ 鴨刻々と シルエット
金赤光 経て暗む沼 日短し
鴨蹴立ち 縮緬(ちりめん)波へ 飛ぶしぶき

05.12.22
尾根吹雪く 男体きびし 皺の沢
鴨の振る 水滴は止み 水鏡
穂ススキの 枯れ立つばかり 逆弱光

04.12.8
尾根の吐く 噴煙のごと   雪の雲
高く低く  散る鴨越えり  凍てし空
折れ枝など うち散らばりて 冬づく野

04.11.25
顔溶けし  地蔵へ誰か   菊線香
どの草と  交わす風の音  原は枯れ

04.11.15
農家裏   万象古び    八つ手咲く
一向きに  薄穂揺らぐ   原 微風

04.11.10
ハナミズキ 霜腫れ色に 紅らめり

04.10.25
数珠玉を  枯れ枝(え)に連ね 朱の野草
枯れ色へ  移ろう葭の  守(も)る小沼

04.10.10
豚草の   葉に千万の   露輝れり
鴨乱す   波燦爛と    金朝日